いろんな人格の話

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記憶というものほど信用に値しないものはないと思います。
なぜなら僕の記憶には、自分が映っていることが多々あるからです。

自分で自分を見ることほど恐ろしい行為はないと思います。なぜなら、自分が自分を見ようとする行為そのものは、自分が二人いることを自分で認めることになるからです。
そしてあなたも私も、今自分を見ている自分、つまり一人称の自分を本物だと思うでしょう。

僕はいつからでしょうか。もう忘れてしまいましたが、いや、頭の中だけかもしれませんが、
一人称の自分になろうと試みたことがありました。今も無意識にやっているかもしれないが。

記憶がおかしい。記憶は一人称でなければならない。現実を見なければ。現実を見たかったんです。

僕は一人称になるために、今記憶を見ている自分になろうしました。

結果的にこれは上手くいきませんでした。

なぜなら自分を見る自分が、さながらマトリョーシカのように無限に増殖してしまったからです。
自分になろうとする自分を見ている自分が完成されてしまった。 

どうすればいいか悩んだ僕に対してけなしてきた僕。それは僕なのだから、心の中で僕はその僕の一人称になった。
でもその次は、それにつっかかてくるアニメ声をした女の子が現れました。これは一見他人のように見えるけど、これは僕だということが本能的に察知できた。この世界を導く案内役として、それはいる。彼女が話さなくても、僕にはそれがわかりました。彼女はそんなに無理をしなくてもいいとツンデレ口調で言っていたような気がします。でも彼女も、前にいると思ったら今度は後ろにいるし、もう戻らなければ。
しっかりしろ!

守護霊きた!僕の守護霊は何かわからない者だけど、その姿は、自分が守護霊とはなんなのかインタビューされた際、瞬間思いつくイメージに似ている。
そして、それは形を変えてくれる。それは中学の頃、着物を着ているときがあったし、姿が見えないものでもあったし、普通に天使のような格好をしている時もあった。恥ずかしい話だが、漫画の線画で登場してきた時もあった。
でもそれを僕は完全に”それはそれ”として飲み込むことができた。

僕はわかったんです。僕の夢も、僕の記憶も、僕の心の中も、僕が僕であるための一番見たい形で”それ”は現れると直感的に理解しました。

それが無限に続いてしまうとわかっていながら、僕はそこにふと潜ってしまう。

部屋が続いている。赤と黒の模様の部屋から突然視界が開けて青空になる。そこに守護霊と僕がいる。違う。戻らないと。いやこれもきっと見たくて見ているんだ。守護霊は黙っている。
あぁこの想像もいつのまにか三人称になっている。今見ている僕に、僕はなる。
僕になったと認識してはいけない!
それに気づいちゃいけない!
僕は勘が中途半端に良いせいで、それに気づいてしまうんだ!

気づけば気づくほど無限に増えてしまう。
しっかりしろ!

シャワーを浴びていた僕が現実から戻っていた。彼は細い目をしていて、濡れていた。