「富国と強兵 地政経済学序説」は、こう読め!

富国と強兵 地政経済学序説」は、私の思想に大きな影響を与えた名著だ。数年前の若きロルフは、500ページを超える重厚さの中から様々なことを学んだものだ。
この本は、序盤でMMT(現代貨幣理論)について解説していることで有名だが、単なる経済学の本として読むのはあまりにも勿体ない。富国(経済)だけでなく、それを強兵(安全保障)と関連づけて論じている点こそ、富国と強兵の醍醐味だ。

そもそも、富国と強兵が提示する歴史認識は、一般常識と比べて非常に特異だと言える。
普通は、自由貿易や自由競争こそ経済の成長をもたらすと思われがちだ。しかし、中野剛志の着眼点は違う。
具体的に言えば、戦争や国際関係における緊張が、各国の経済・財政制度を発達させ、高度な資本主義をもたらしたというのが、富国と強兵における中野の最大の主張なのだ。
したがって、一見すると別々の分野に見える経済と安全保障を、統合的に捉える観点を養えるだろう。

また、中野の主張自体も興味深いのだが、この本では結論を導き出すまでに、様々な議論を展開している。
例えば、冷戦後のアメリカの覇権について説明することもあれば、ハイマン・ミンスキーの金融不安定仮説(金融市場では、好況がバブルとなり、常に崩壊するリスクを抱えること)などの経済理論を念入りに紹介することもある。
そういった「各論」に注目して読むことも、悪くない読み方だ。私がジョン・ミアシャイマーを知り、彼の主著を読んだのも、富国と強兵がきっかけだった。
富国と強兵は、社会科学の広範な分野を扱っているおかげで、読者自身の様々な関心を引き出すことも期待できる名著なのだ。

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