あの古田更一はこう言った。 第一話 幸福の国の絶望な勝ち組精神科医

 〜日本語で書かれた最も誇り高くイケメンすぎる男の書いた文章。〜

 日常は絶頂だ!

仕事!仕事!仕事!

ラーメン!ラーメン!ラーメン!の日々!

 なんて素晴らしい黄金の夜明けなんだろうか?!

読書なぞゴミにすぎない!

 俺様は安定したキャリアだけを眺め、おぉ!安定した歴史だけを眺め、

 喫茶店で構造主義でも物理学でも眺めていればいい!

 あまりに楽しすぎて、頭が痛くなりそうだ。

 この幸せな孤島には、他者が存在しない。

 俺様は仕事をし、野良猫のようにラーメンを喰い潰し、何を始まらない平和な日常を優越している。社会は機械こそが主役であり、システムに依存しない人間は俺様のような精神科医と運営者たちだけであって、もう人間は消失したのだ。

 人間たちの脳は機械につなげさせられていて、脳内には数字がうっすらと刻み込まれている。その数字に意味は別段なく、そこには文字も書かれていて、【遅いインターネット計劃】「哲学」【デコポン」【シラス」「梅干し」「イワシ」など別段意味もない記号式が展開されていた。彼ら彼女らにはもう性別も年齢も消失している。自己はなく他者はなくただ声だけは大きくユングの言う集合的無意識はすでに完成されているようだった。

 人間1人1人に意志なぞない。人はそう、集合体なのである。複数の性ではなくて、複数のおかげ、複数の無責任である。

 あぁ!

 現実界の住民である俺様は想像界へ避難した戯言たちと言葉の波長が合わない!

はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

仕事は、象徴界だ!ラーメンは象徴界だ!繋がったふりをしてふりができる!

 お金も幸せも本当の知恵も湯水のように浴びる毎日だぁ!

 だが、なぜ幸福な俺様は、不幸なのか!?

 それはあまりに俺様だけが正常であるからだと思う。

 人はもはや精神科医はもう気が狂いそうだ。

 そうだ、俺様は精神科医なのだ。どこまでも退屈すぎるほど平和で勝って勝ってつまらない。

 システムの自我が失った住民の虚勢されたチンコやアソコへいつも塗り薬を提供してやっている。

 が、彼ら彼女らの大半はほぼ目が覚めない。脱出できない。

  俺様は勝つことに飽きている。

 もうそんな独りよがりの遊びは終わりにしよう。

 自分だけ生きていてどうなる?

 自分だけ勝っていてどうなる?

 残念なことに俺様の黒い仲間たちでは、勝ち組はボランティアに走るのが先道だと言われている。

 なので、俺様はまず人を助けようと思う。誰のために?

 当然…、

 自分のことだぁ!

 俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、俺、

俺!

自らが男に生まれたことを誇りに思う。勇者はそう、俺にこそ相応しい。

 抱えても無駄な全能感に酔いしれながら、俺様は喫茶店で立ち上がってジョジョ立ちを取っていた。無人の黄金の深夜だったが、あまりに恥ずかしいので(他人がいない社会だろうと俺は恥ずかしがりたい!)、

俺様は自分だけを救いたいが為に、まずは汚すぎる森へ向かって走ることにした(歩くな!俺様はカッコカワいいキャラが好きなんだ!あくまでキャラでいい!スタイル感覚の問題なんである…)。