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緊張するから、ホールインワンできるんじゃあない。
ホールインワンできるから、緊張するんだ。
ホールインワン、一打目でボールをゴールへ入れてしまうことだが、そんな天使が舞い降りた人の肩はそう言っていた気がしている…。
ゴルフがどうしてかくも面白いのか?
それは、どこまでも自己責任のスポーツだからだ。孤独のスポーツだからである。
なるほど、他人とのスコア数を競い合うゲームじゃあないかというお叱りがくるかもしれない。
が、ドライバーで200ワード以上パワフルに飛ばして、そして、厳密にどのアイアンか果たしてウッドなのかという中距離バッドをクリティカルに選択し、そして、あんなに派手だった鉄越しのハンマーを捨て去り、健気な老人のように、チョビチョビとゴールへコロコロコロ…とゆっくりメランコリックに詰めていく…。
四季折々の栄子老衰。
世の中そんなもんだろ?
ふふふ。
ようするにー。
ゴルフは、かっ飛ばす力、そして中距離的なバランス力、そして、超コントロール力、精神力といった総合的能力を問われるスポーツなのだ。ある意味で言えば、70才老人でも杉原プロのようにやっていけたのは、ゴルフは総合的に強いのか弱いのか、あくまで己の手でやらねばならぬどこまでもということだからだ。
ゴルフをやると、ビールを飲んだり、カレーを食ったり、何か無性に食べたくなる。
こんなにご飯を美味く食べれるスポーツはないだろう。
だから、ゴルフコースの飲食料理が大抵美味いし、地味に高級料理が多いし、温泉がついているのも、当たり前だ。
僕たちは、人間と対話しているのではない。
四季折々の栄子老衰。そうだよ。
自然原理そのものと闘って、対話しているんだよ。
だから。
ゴルフの芝生は非常に重要である。
ゴルフから、芝生がなくなったら、ゴルフはゴルフではなくなる。
ゴルフは緑がよく似合ふ。
ある意味で言えば、孤独な闘い、あくまでも自己責任で切り開かなければならない人生そのもの。そのメタファがゴルフなのだ。
そういったわけで、一緒に回るゴルファーは実のところ、敵ではない。むしろお互いに直接助けることはできないが、一緒にこの広大なグランドへ闘争しようやっていうどこまでも遠くの戦友なのである。
だから。ゴルフにはスポーツマンシップが成立する。紳士と紳士のスポーツなのだ。どこまでも相手のプレイを見守り、というか、相手が自然の摂理から逃げないかまでもチェックする自然の代理人的存在ですらある。
でも、だからこそ、喜ぶ。
ホールインワン。一打で入ったら。自分のことのように。喜ぶ。
ゴルフは祝福されたスポーツだ。
自然にも。そして、貴方自身にも。
小さな音の鳴り響く砂の発露。
サウンドのようなサンドに入っても、
パットに力込めろ。
………………………………………………。
【追記】

そう言えば、町田洋がまた連載始めたみたい。奇しくも砂の都という浅田彰のヘルメスの音楽かつゴルフのサンドみたい。自己模倣の段階っぽくて、ちょっと不安だが、どうしてかゴルフと町田洋はよく似ているのよね。