若者たちの紙神。

 チョキ…チョキ…チョキ…。別段やりたいことじゃあないが、仕事なので毎日天空から落ちてくるスゲー長い紙をひたすらに切っている毎日。チョキ…チョキ…チョキ…。切るー。俺は板前であるし外科医だと思う昨今。毎日ずっと紙を切っているんだもん、切り刻むことに関しては一流だと思う。板前も外科医もチョキ…チョキ…チョキ…。ね?同じ仕事でしょ?世界中に君臨するお寿司屋や病院は俺の仲間扱いしてもいいよ。切り屋の俺はそう思うのだった。

 人類が考えなくなったのは、宇宙人だか神様だか知らねーけど、ある時に空からスゲー言葉の書かれた長すぎる紙を発見してからのことだった。日本にも数件ばかし宇宙まで続くような細長い紙がずっと落ち続いていて、たまたま俺ん家の天井をぶっ壊して長い紙が落ちてきたので、ある時からただのサラリーマンだった俺は切り屋になったのだ。

 俺は人気者なのでその紙に書かれた呪文のようなものにご利益があるよ〜って日々言いまくってみんなに売っている次第であって、どこまでもどこまでも穴だらけ扉だらけの俺ん家にはヨダレたれまくれの老男若女が行列を作っているっていうスゴイ話し。ほら。蟻の巣とか蜂の巣とか見たことない?俺は女王蟻でも女王蜂でも何でもないんだけど、家中が24時間呪文じみた謎の紙Xを求める人々で引き締めあっていた。

 でも、意味があるのかな?

 俺にはよく分からない。チョキ…チョキ…チョキ…。実際に天空から細長い紙が落ちてきて、そこに何やら呪文じみたことが書かれていることは大ニュースの大炎上の大豊作って思うけどさぁ、それ自体に何ら意味が果たしてあるのか本当によく分からないし、ただサラリーマンの頃とおんなじでたまたま俺ん家に紙が落ちてきたから転職をしただけであって、たまたま運が良かった(良かったのか?)から切り屋になっただけで、ぶっちゃけ世界を救うとかどうでもいいことだった。

 ただ楽しい。

 チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ…。

 へいよ!いっちょ上がり!スパーンッ!ってみんなに挙げるように切っていく毎日。スパッ!スパッ!しているのは本当に面白いことだと思う。

 ただ最近、急激に女の子が「紙を食べて」自殺しまくっているのは気に入らねー。マジでマジに紙を食べて神にでもなろうっていうのが最近のティーンで流行っているらしくて、いやシャレじゃあなくて、この高尚な紙を食べちゃえばマジもんの神様になれちゃうっていう変なデマが急増しているとのこと。

 バーン!バーン!バーン!

 死、死、死。

 死ぬよ、死ぬよ、死んでいく。連日の報道であんな有名な女優やアイドルがバンバン神様になろうとして、小ちゃなクチに紙くずを溜め込んでゲオゲホした顔つきと目つきで死んでいって、それがある種のお祭りとなって渋谷のスクランブル交差点のデッケー画面にそそらない顔が流されるのであった。

 俺は器用っていうのは有名だけど実際そうで、両手でハサミを切りながら、両足でスマホとテレビリモコンをいじり、畳の上でふざけたニュースを日夜見ているのだ。

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